宇宙の旅路

Rokudenashi Space Journey

THE PLANETS

ケージが訪れた星々

ギャンブルに負けて全身を改造されたろくでなしが、宇宙の果てで出会った惑星たち。
虹色の光夜に包まれる初めての星から、数千本の光の柱で最期を迎えた星まで──
10の星の記録を、ここに。

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Planet Class: P ─ Distance: 11 Light Years from C66

惑星 P015

──ヤクでキメた虹色より、遥かに鮮やかだった

居住適正

ランク B

特異現象

光夜

資源

金属鉱物

調査順

初任務

🌈 光夜の惑星

ケージが惑星開拓事業団に入団し、最初に訪れた惑星。暗く金属質な土壌から光を放つ巨大なキノコが生え、触手のような輝く植物が極彩色の光を放つ。複数の異なる色の月が天空に浮かび、地表全体を非現実的な光で包み込む。

一週間の調査で並外れたデータ量を送信し、支社の職員を驚かせた。しかしケージの心を最も打ったのは「光夜」と呼ばれる自然現象だった。夜間に空が極彩色に輝くオーロラのような光景──それはかつてキメていたヤク「L」の虹色の世界より、遥かに鮮やかだった。

非合法の薬など使わずとも、美しいものは見られる。頑張れば、この世界に居場所を作れる……天がそう囁いているような気がした。

ろくでなし成分が、ほんの少し、ほんのわずかに薄まっていく──ケージの再生の物語は、この星から始まった。

危険度

Planet Class: U ─ Distance: 509 Light Years

惑星 U97

──風の惑星。走れ、竜巻を置き去りにしろ

居住適正

ランク D

特異現象

竜巻群

夜間脅威

寄生樹

依頼等級

E Rank

⚡ 風神爆走

ケージが開拓事業団員として最初に訪れた惑星──「風の惑星」。黒く渦巻く竜巻の群れが生き物のように不規則に乱舞し、時に合流して巨大な渦となり、時に分裂して無数の黒い糸と化す。荒涼とした赤茶色の大地にはまともに立っていることすら困難な暴風が吹き荒れる。

夜間は更に異様さを増す。空そのものが生きているかのように黒と赤の不気味な雲がうねり狂い、寄生樹がそこかしこで胞子を撒き散らす。だがケージは竜巻から時速185キロで爆走して逃げ切り、「俺は風神だ!」と狂ったように叫びながら走り続けた。

「うおおおおッ!風だ!風になれ!俺は風神だ!風!風!風!風!」──ケージの最初のミッション、その逃走速度は時速185km。竜巻を置き去りにした。
危険度

Planet Class: U ─ Distance: Far Reach

惑星 U101

──空に海を持つ星。その水膜が剥がれ落ちるとき、大地は砕ける

惑星類型

水膜惑星

特異現象

C・V

地表環境

森林・草原

水柱現象

確認

🌊 空に浮かぶ海

大気圏の外側を分厚い水の膜が覆う異端の惑星。地表には豊かな森林と草原が広がり、空には水の層を透過した光が注ぎ込む。水膜には気泡が漂い、地表からは巨大な水の柱が天空へ向けて噴出している。

ケージはこの星で適正地のマッピング調査を行う。しかし水膜は常に安定しているわけではない。「Caelum Vortexs」──水膜が局所的に剥がれ落ち、地表を粉砕する恐るべき気象現象が発生する。別の調査団員チームがこの現象に巻き込まれ、圧殺された。

「なんだよありゃあ…」──空が歪み、巨大な渦が形成される光景を目の当たりにしたケージ。この惑星の「空の海」は、天使にも死神にもなりうる。
危険度

Planet Class: D ─ Distance: Mid Range

惑星 D80

──朽ちた文明は沈黙で語る

文明状態

遺棄

清掃対象

チュウニドラ

警備状態

RB-07稼働

チーム

3名

🏚️ チュウニドラビルヂング

かつて栄えた文明が気候変動で滅んだ星。荒れ果てた高層ビル群が立ち並び、風化した企業ロゴだけが往時を偲ばせる。経営者一族は別の惑星へ逃亡し、住人たちも次々と星を去った。

アサミ(エンパシスト)とレミー(ベルトラン外星人)とチームを組んだケージは、30階建ての「チュウニドラビルヂング」で清掃業務に従事する。だが上層階に侵入した別チームが警備ロボットRB-07を起動させ、戦闘に発展。レミーは腕を失い、任務は失敗に終わった。

「喧嘩になりようがないよ。俺たちは誰も殺されたりしてないじゃないか」──ケージの下層居住区仕込みの処世術が、初めて仲間たちの前で露わになった瞬間。
危険度

Planet Class: F ─ Distance: 1,800 AU

惑星 F25「白鯨」

──虹色のガスの海で、5,000メートルの神話が泳ぐ

惑星類型

木星型

質量

木星×40

白鯨全長

5,000m+

居住適正

ランク E

🐋 宇宙の海の怪物

木星の40倍以上の質量を誇る巨大なガス惑星。地表は存在せず、赤、青、緑、紫のガスが何層にも折り重なって虹のような絶景を織りなす。ケージ曰く「まるで花畑だな」。

だがこの美しい海には恐るべき捕食者が潜む。全長5,000メートルを超える白い巨体──「白鯨」。ガスを主食としていた"それ"は、やがて人類の採掘船を捕食するようになり、船ごと乗員を飲み込んでいった。幸運を運ぶと信じられた伝説の生物、その実態は宇宙の深淵に棲む究極の捕食者。

「今の君はかつてのギャンキチの血を沸き立たせていた。デカい役が揃いそうなあの気配、射精寸前のあの昂り」──白鯨との邂逅を前に、ケージのギャンブラーとしての本能が目覚める。
危険度

Planet Class: G ─ 報酬: 通常の8倍

惑星 G112「緑の星」

──楽園は、お前を喰おうとしていた

能力

精神感応

知性形態

集合意識

汚染者

療養中

大気

地球型

🌿 捕食者は怯えた

上質なエメラルドのように輝く緑の惑星。この星の全ての植物は精神感応能力を持つ集合意識で繋がっており、訪問者の思考を読み取り「声」をかけてくる。以前の調査隊は精神汚染で全員がリタイアした。

しかし植物たちが友好を装ってケージを捕食しようとした瞬間、彼の深層意識を読み取ってしまう──燃え盛る炎、炭化していく生命、そしてその地獄絵図を前に腹を抱えて笑い転げるケージのビジョン。加えて、触れた葉が黒く変色し崩れ始める異常。

植物たちは瞬時に方針を転換した。「この恐ろしい訪問者を刺激することなく、可及的速やかに穏便にこの星から立ち去ってもらうこと」──捕食者が怯えて獲物を見送る、前代未聞の結末。

「俺は"騙すつもりはない"って言ってくる奴の事を一度は信じる事にしてるんだよ」──信じるとは、裏切った結果に対する全責任を相手に与えるという、極めてフェアな駆け引きの一環なのだ。

なお帰港後、ケージがドラッグの素材として大量に持ち帰った植物サンプルは、全て没収された。当たり前の話である。

危険度

Planet Class: G ─ 通称「硝子の惑星」

惑星 G1011

──空から降るのは雨とは限らない

居住適正

ランク B

特異現象

硝子の雨

地表

透明岩石

依頼種別

物資採集

💎 硝子の雨の星

地表が透明で硬い岩のような物質で覆われた惑星。その表面は星々の光を反射してきらめき、空には一つ残らず一等星かそれ以上の輝きを放つ星が瞬く。色とりどりの宝石にも似た石が地表に散らばり、ケージは黙々とトランクケースに詰め込んでいった。

だがこの星の真の脅威は空にある。虹色に滲む黒雲から、人の頭ほどもある色石が凶悪な重量で降り注ぐのだ。ヘルメットなど意味をなさない──首の骨が折れる。ケージは船の中で晴れろ晴れろと精神波を放射しながら、もう一つの発見に目を見張った。惑星の後方を遊泳する虹色の宇宙芋虫──恒星間生物との初遭遇。

「仕事だ!仕事をするぞ!仕事仕事仕事仕事仕事仕事仕事仕事仕事!」──脳内で生産された合法的陶酔成分により仕事の鬼と化したケージは、5つのトランクケースを色石で満たした。
危険度

Planet Class: K (Killer) ─ 黴密度: 惑星全域

惑星 K42

──黒い大地は、喰らうために蠢いている

惑星区分

キラー指定

脅威

人喰い黴

依頼種別

黴の採集

制限時間

48時間

🦠 黴の楽園

キラー惑星──名称の頭に「K」がつく、人類に対して極めて敵対的な環境の星。K42は地表の全域を黒光りする黴が覆い尽くし、その黴は有機体を餌として異常に好む。黒く光沢のある岩石に見えるものは、よく見れば蠢動している。鈍重な動きは獲物を油断させるための罠だ。

ガイドボット・ドエムに提案されてやってきたケージは、当初「黴なんて辛気臭い」と渋っていたが、地表全域に広がる黒黴の楽園を見て考えを変えた。「同じモノを沢山ズラーッと並べると綺麗に見えるんだ。大自然って感じがするよな」──サイバネボディが体温を上昇させ、黴の侵食を焼却する。48時間以内に脱出しなければ、群がる黴に船ごと取り込まれる。

「俺だって生身の部分が無いわけじゃないんだぜ」──ケージの不安をよそに、サイバネボディの防衛機構は完璧に機能した。黴の惑星から持ち帰った検体は、後にケージの体内で起こる「静かな戦争」の伏線となる。
危険度

Rogue Planet X015 ─ Cosmogonium vagans(漂流する宇宙の種)

遊星 X015

──それは星ではない。生きている

分類

恒星間生物

直径

6,900km

自律意識

未確認

採取量

250kg

🪐 漂流する宇宙の種

星ではない。火星よりやや大きい直径6,900kmの生命体──それが遊星X015だ。表面は無数の孔と突起で覆われ、孔の大きさは大小こもごも。内部から光が滲むように輝き、体表の色は紫、ピンク、青緑が混ざり合う。ケージは「うぇっ」と声を漏らした。お世辞にも美しいとは言えなかったからだ。

Dランクに昇格してアンロックされた遊星探査。ネビュラスキン星海域に浮かぶ遊星X015の「肉」を250kg採取せよ──それが任務だった。紫と青の地面は蠕動し、小型レーザースライサーで切り取る感触はかつてスラムでやった「バラし」のバイトを思い出させた。この宇宙をただ漂流するだけの惑星大の生命体。自律意識があるのかすら、わからない。

「気持ち悪いなぁ」──ひいき目に見て、生肉の汚染物質漬けといった所だ。だがネビュラスキン星海域には透明な発光生物や蛇のような宇宙生物が回遊し、その奇妙な美しさにケージは自然と煙草に手を伸ばしていた。
危険度

Persephone Prime ─ Red Dwarf Ross 154

ペルセポネ・プライム

──彼岸に伸びる光

恒星

ロス154

生態系

惑星規模

通信

オーロラ

運命

滅亡

🔥 最後の祈り

赤色矮星ロス154を周回する惑星。永遠の夕暮れに沈む薄紫色の空の下、風化した岩塔群がオーロラの光で互いに通信し合う。六脚の「献身者」がエネルギーを中枢に運び、惑星全体が一つの生命として呼吸していた。

ヴァリアン・ブラックウッド博士と共に調査に赴いたケージは、岩塔の内部に生き続ける古代の組織、円盤状の飛行生物、地下のエネルギー貯蔵層など、惑星規模のネットワークの全容を目撃する。

だが赤色矮星がスーパーフレアを放った。通常の500倍のエネルギー放出。致死量の劇薬が惑星に投与されようとしていた。

フレア到達まで12分。脱出ポッドの中から見た惑星は、それまでのどの瞬間よりも明るく輝いていた。救いが来ると信じて全力で準備する生態系。だがその光は死刑執行の合図だった。

光の柱は数千本に達していた。惑星全体から、まるで花火のように光が打ち上げられている。──断末魔か。それとも──まるで祈っているようだった。

大気の40%が剥離。海洋の60%が蒸発。地表温度は摂氏800度。表面の生態系は壊滅した。博士は呟いた。

「火葬だな」

軌道ステーションのデッキで一人空を見上げたケージは、ロス154の方向へ呟いた。

「俺にできることは覚えてることだけだ」
危険度

SPACE JOURNEY CONTINUES

これらの惑星は、ケージの旅路のほんの一部に過ぎない。
全身を改造されたろくでなしの、血と酒と煙草と──
ほんの少しの優しさで綴られる宇宙紀行は、まだ続いている。

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